症状固定前からのサポートで併合11級が認定され、生活保護受給中でも逸失利益が認められた事案

 

概要

 

被害者の属性 40代 男性 無職
事故の分類 バイクを運転中に右方から進行してきた乗用車と衝突
負傷部位 肩、手、顔
傷病名 腱板断裂、頬骨骨折、両側橈骨遠位端骨折
後遺障害等級 併合11級

依頼のきっかけ

 症状固定前の段階で,依頼者は加害者側保険会社の担当者の対応に強い不満を感じたため,今後,適切な後遺障害の評価がなされるのか,適切な賠償額の提案がなされるのか,不安を覚えたため,ラグーンに来所されました。

 

 また,依頼者は,生活保護を受給しながらも,過去に日雇い労働で単発的に仕事をしていたこともあったため,休業損害や後遺障害が認定された場合の逸失利益について,賠償がなされるのか不安に思われている状況でした。

後遺障害等級認定までのサポート

 ラグーンでは,依頼者から症状の経過等についてヒアリングをして,症状固定時期,適切な後遺障害等級認定にあたって受診(検査)が必要と思われる診療科についてご説明のうえ,今後の方針を決定しました。

 

 症状固定に関して,主治医と面談をしたところ,ラグーンでの打ち合わせ内容と主治医の見解に矛盾はありませんでした。そこで,速やかに後遺障害診断書を取得したうえで,後遺障害等級認定の申請をしました。なお,申請の方法には,加害者側保険会社を経由する方法(事前認定と言われます。)と被害者側で直接自賠責保険会社へ申請をする方法(16条請求もしくは被害者請求と言われます。)がありますが,ラグーンでは,原則として全件について後者の方法(16条請求)により請求をしています。申請に添付すべき書類を被害者側でしっかりと調整して準備をすることができるため,適切な認定を得られやすい傾向にあることが一つの理由です。

 被害者請求を行なったところ,肩関節の機能障害について12級6号,両手関節痛について12級13号,顔面部の線状痕について12級14号として,併合で11級の認定がなされました。

交渉の経緯

  認定された等級の妥当性を検証し,問題ないと判断できたことから,相手方保険会社との交渉を開始しました。

 

 主な争点は,休業損害の有無,逸失利益の有無でした。本件では,依頼者は,事故当時,生活保護を受給していたという事情がありました。このような場合,一般的には減収が認められるわけではないため,休業損害は認められません。また,逸失利益についても,同様に,保険会社は将来の減収が見込まれないことから,支払いを拒否してきます。

 本件では,単発的に日雇いの仕事をしていたため,この点を休業損害の認定にあたってどのように考慮すべきか争点となりましたが,残念ながら,日雇い賃金の授受や金額を証明する客観的な資料はなく,休業損害を認めてもらうことはできませんでした。

 しかし,逸失利益については,依頼者に労働能力と労働意欲があることを主張・立証することで,最終的には相手方保険会社に後遺障害逸失利益を損害として認定してもらうことができました。

弁護士の目

  近位端もしくは遠位端等の関節付近の部位を骨折した場合,機能障害(可動域制限)が残存する可能性があります。この場合,主治医に後遺障害診断書の作成を任せきりにして安心してはいけません,可動域の角度がどの程度制限されているのか,正確に計測をして,それを後遺障害診断書に記載してもらう必要があります。適切な後遺障害の認定にあたって,極めて重要な作業になります。

 

 

 また,事故時に生活保護を受給されている場合,賠償額を算定するにあたって,慎重な検討が必要です。減収がなければ休業損害が認められないのは当然ですが,だからと言って,後遺障害逸失利益までも否定される理由はありません。収入がなかったのだから,休業損害はもちろんのこと,後遺障害逸失利益も認められないものと思い込んでいる相談者の方もいらっしゃいますが,個別に検討をする必要があります。

 

 実務では,後遺障害逸失利益について「労働能力及び労働意欲があり,就労の蓋然性があるものは認められる。」と考えられています。したがって,この要件を満たしているか,個別の事案に即して検討しなければなりません。

 専門家に相談をすることなく,保険会社に言われたことを鵜呑みにしてはいけません。示談前に,一度,弁護士にご相談されることをお勧めします。

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