小学生の下肢醜状痕について逸失利益が認定された事案

被害者の属性 8歳 男性 小学生 
事故の分類 歩行中,自動車に足を轢かれる
傷病名 足趾腱損傷

 

依頼のきっかけ

 事故により重傷を負ったにもかかわらず,加害者の保険会社が,被害者側の一方的な飛び出しにより発生した交通事故であるとして事故態様について争ってきたことから,今後の交渉に不安を感じ,ラグーンに依頼することになりました。

後遺障害等級認定までのサポート

 依頼者は,足の甲部分をタイヤで轢かれ,皮膚移植手術を余儀なくされる状態でした。

 術後の経過観察及びリハビリが必要であったことや,成長期にあったという特殊な事情もあったため,症状固定の判断が難しく,主治医とも面談をしながら,症状固定時期について慎重に経過を見守ることにしました。

 その後,事故から約1年半年後に症状固定となりました。運動機能については回復しましたが,右足の甲付近に醜状が残ってしまったため,後遺障害の申請をしたところ,「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」として14級5号の認定を受けました。

交渉の経緯

 依頼者は症状固定時8歳でした。今後,様々な体験を通じて人格を形成していく大切な時期です。

 このような時期に不幸にも醜状を負うことになってしまえば,例えば,醜状を隠すために水泳には参加しない,夏にサンダルを履かない等,日常生活を送るうえで少なからず悪影響を及ぼすことは明らかでした。

 ラグーンではこの点を重点的に主張して,下肢のてのひら大の醜状であっても逸失利益は発生することを前提に相手方保険会社と交渉しました。

 そうしたところ,相手方保険会社も逸失利益の発生を認め最終的には裁判外で示談となりました。


弁護士の目

 保険会社は醜状障害について労働能力の喪失が生じていないとして,逸失利益の発生を否定してくる傾向にあります。醜状があっても,身体は問題なく動くし,給料が減るわけではないからというのが理由です。

 顔面等の比較的人目につきやすいところの醜状であれば,ある程度の労働能力喪失を肯定するケースもありますが,本件事故のように足の甲等の比較的人目につきにくい部位の醜状については,裁判になっても逸失利益の発生が否定される傾向にあります。

 本件は,幼少期の事故で,依頼者にとってこれから人格を形成する大切な時期でした。日々の行動で,性格が変わることもありえますし,得意・不得意分野を見定めながら,将来的な職業の候補を選択していくという時期でもあります。無限の可能性を秘めているのです。そのような時期に醜状を負ってしまえば,人に見られたくない,恥ずかしい,イジメを受けるのではないか等の消極的な感情を抱いてしまい,それによって,少なからず将来の選択肢が制限される可能性も考えられます。

 裁判例でも,幼少期における醜状障害が将来的な行動や発想に影響を与え,ひいては職業について自由に考え選択することも制限される可能性があるとして,逸失利益の発生が肯定されています。

 裁判例を引用しつつ事案に即した個別具体的な主張・立証を尽くしたことで裁判外でも妥当な解決に至った事案でした。

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