異議申立によりCRPSで7級の認定を受けた後,裁判で解決した事案

被害者の属性50代 女性
事故の分類追突
傷病名 CRPS(複合性局所疼痛症候群),TFCC損傷
後遺障害7級

依頼のきっかけ

 事故によって仕事を休まざるをえなくなったものの,休業損害が十分に支払われなかったり,治療を受けても症状が改善しなかったりしたことから,今後の補償が不安になりラグーンへ相談に来られました。

後遺障害等級認定までのサポート 

 ご依頼をお受けした後,まずは生活費補償としての役割を果たす休業損害の支払について交渉を始めました。休業が長期化していることもあり,保険会社からそろそろ復帰(=休業損害の打ち切り)はどうかと打診されている状況だったからです。

 主治医とも面談をして,なぜ休業せざるをえないのか,症状が改善しにくい医学的な理由について,ヒアリングをしました。主治医の診断書を証拠として保険会社に休業損害の支払継続について打診したところ,保険会社は当方の主張を受け入れ,休業損害の問題を解決できました。

 次に,依頼者の傷病がCRPSと比較的珍しい内容であったため,専門的な治療を受けたいとの依頼者の意向を踏まえて,転院のサポートをしました。保険会社からは転院時の治療費の対応手続が煩わしいためか難色を示されました。しかし,症状を丁寧に説明することで,最終的には転院と検査入院について納得していただきました。

 その後,治療を継続しましたが最終的には専門的な治療をもってしても症状は改善しませんでした。激しい痛み等の症状が残ったため,後遺障害の申請をしたところ,最初の請求では後遺障害等級9級という判断がなされました。

 しかし,依頼者が訴える症状からして9級という認定結果の妥当性に疑問があったため,異議申立手続を行うことにしました。

 異議申立にあたっては,依頼者の現在の症状をまとめた陳述書や現状が記載された診断書を新たな証拠として提出しました。

 その結果,9級ではなく7級が妥当との認定に変更されました。

交渉・訴訟の経緯

 交渉をしましたが賠償額について双方の主張に隔たりがあったため,訴訟提起をすることになりました。

 裁判所の審理では,依頼者に素因があるか(つまり依頼者にCRPSの発症や悪化について事故以外の原因があるか)否かが主な争点となりました。

 被告側からは依頼者が怪我をしやすい体質であるからそれを考慮して賠償金額を減額すべきとの主張がなされました。当方は,被告側の主張は単に抽象論にとどまっていて具体的な素因を特定しているものではないことを強く主張しました。

 結果的には裁判所は依頼者側の素因を認定することはなく(つまり賠償額を減額することなく),裁判基準どおりの損害を認定してくれたため,和解により解決することとなりました。

弁護士の目

 CRPSは,臨床時の診断要件と自賠責保険の認定要件が異なる傷病です。そのため,医師がCRPSと診断をしても,そのことから直ちに自賠責保険でもCRPSを前提とした後遺障害等級の認定がなされるわけではありません。この違いを意識して立証活動を行わなければ,適切な賠償は遠のいてしまいます。聞きなれない傷病名ということもあり,医学的な知識を有していなければ,後遺障害等級の認定においても,訴訟においても,不当な認定がなされたり,不適切な減額がなされたりすることさえありえます。

 ラグーンでは,医療機関と積極的に医師面談を行い,まずは傷病の理解に努め,依頼者の現状を適切に把握し,保険会社からの医学的な主張にも対応できるように,日々研鑽をしています。

 本件は,粘り強く後遺障害等級について主張をするとともに,保険会社側からの医学的な知識を前提とした主張に対しても医師と連携をして適切に反論をすることで,あるべき結論を導くことができた事案でした。

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