顔面の醜状について、非該当から異議申立で12級(併合11級)に認定された事案

被害者の属性 70代女性
事故の分類 歩行中に車両と衝突
傷病名

前額部挫傷、腓骨近位端骨折、骨盤骨折等

依頼のきっかけ

 依頼者は独居で生活をしていました。夜間、仕事の帰りに道路を横断しようとしていたところ、交通事故に遭い、多発外傷を負いました。
 長期間の入院が必要な状態で、依頼者の子らも遠方に住んでいたため、保険会社との交渉に不安を感じ、ラグーンに依頼されることになりました。

交渉・訴訟の経緯

多発外傷であったこともあり、治療期間は長期化しました。

この間、休業損害の問題、治療費の問題、自宅のリフォーム工事費の問題等、多くの問題に直面することになりました。
しかし、ラグーンでは事故直後から依頼を受けていたため、これらを全面的にサポートすることができ、すべて弁護士を介して、相手方保険会社と交渉をすることになりました。

 

例えば、休業損害については一部労災申請をしたり、まとまった住宅リフォーム工事費が必要となったときは内払い(示談前に保険会社から支払を受けること)で対応したりして、結果的に、大きな問題(二次被害)が発生することを予防できました。
症状固定となった後、後遺障害の申請手続を行いました。
依頼者が高齢等という事情もあったため、顔面の醜状障害(傷跡)については直接の面接ではなく、写真の提出をもって対応することになりました。

 

しかし、このことで問題が生じました。最初の申請では、顔面の醜状障害が後遺障害として認定されなかったのです。
そこで、異議申立の手続きをとることにしました。異議申立では直接の面接の実施を求めました。その結果、顔面の醜状障害について12級の認定がなされました。

足部の神経症状とあわせて併合11級の判断がなされたため、交渉を開始しました。

 

しかし、保険会社側は、顔面の醜状障害が後遺障害に該当することを争い、また、リフォーム工事費が高額である、被害者側にも過失があるとの主張に固執したことから、交渉での解決は難しいと判断し、訴訟提起をすることになりました。

 

裁判では、双方から主張がなされ、長期化したものの、最終的には、顔面の醜状障害は後遺障害に該当すること、リフォーム工事費についても保険会社が認定した40万円を大幅に上回る約130万円が認定されたことから、和解によって解決となりました。

弁護士の目

醜状障害(人目につく程度の傷跡)を後遺障害として認定してもらう場合、通常は、自賠責保険の調査機関で面談を実施します。そこで、傷跡を直接確認してもらい、後遺障害の要件を満たすか否か判断をしてもらいます。

 

他の後遺障害では、基本的に書類審査(画像の提出を含む)です。

 

 この点が醜状障害と他の後遺障害の違いになります。醜状障害では、担当者が直接確認をするため、書類審査に比べると、後遺障害の判断について正確性が高い傾向にあります。そのため、異議申立の手続で認定が覆るというケースはそれほど多くないように思われます。

 

 本件では、依頼者が高齢等の事情があったため、負担を軽減する趣旨で、当初は面接調査に代えて写真の提出をしていましたが、適切な判断がなされなかったため、異議申立手続を行いました。

 

 依頼者としても諸事情から直接の面接について消極的でしたが、事情を説明し、手続に協力していただくこととなりました。その結果、面接を踏まえた判断として、異議申立によって適切な後遺障害が認定されることとなりました。

 

 また、今回の事案では、裁判外の交渉では認められなかった自宅のリフォーム工事費が裁判において認定されたという点も依頼者にとって大きな点でした。

 

 リフォーム工事は依頼者や家族からすれば、少しでもリスクが少なくなるように手厚く対応をしてもらいたいと考えます。これはごく当然の感情であると思います。

 

 しかし、保険会社は「そこまでは必要ない」「利便性の向上に過ぎない」「医学的な裏付けがない」等と主張して、工事費の負担を制限しようとすることがあります。本件もそのような対応がなされました。

 

 ラグーンでは、これらの主張の対立を踏まえて、病院、福祉施設の担当者、工務店の担当者に事情を説明し、専門的な観点から、なぜ工事が必要であるのか意見をもらい、これを意見書として提出することで、(結果的にすべてにはなりませんでしたが)裁判所に理解してもらい、納得のできる結果を得ることができました。 

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