通院慰謝料の算定方法が争点となった事案

被害者の属性 50代 男性 会社員
事故の分類 横断歩道を歩行中に右折車両と衝突
傷病名 骨盤骨折等

 

依頼のきっかけ


 依頼者は骨盤骨折の重傷を負ったため,治療に専念したいところでしたが,事故後の保険会社との示談交渉に不安を感じたためラグーンへの依頼を決断されました。

後遺障害等級認定までのサポート

 

 保険会社からの連絡について,依頼者の代理人として窓口になることで,少しでも治療に専念していただけるようにサポートをしました。 

 事故から約7か月で治療は終了となりました。

 自覚症状として,怪我をした部位に若干の違和感はあったものの,骨の癒合は順調という状況でした。

 念のため後遺障害の等級認定の申請をしましたが,後遺障害には該当しないとの判断でしたので,示談交渉へ進みました。

交渉・訴訟の経緯


 示談交渉・訴訟では,入通院慰謝料の金額が一つの争点になりました。

 ポイントになったのは,2か月の入院後,約5か月間の通院期間がありましたが,依頼者はそのうち10日程度しか実際には通院をしていない点でした。

 入通院慰謝料の計算にあたっては,入通院期間(つまり,いつからいつまで治療をしていたか)を原則とします。しかし,入治療期間が余りにも長期となり,しかもその間の実際の通院日数が極端に少ない場合,例えば3年の通院期間に対して実際の通院が3日しかないような極端なケースで,入通院期間である3年を前提に慰謝料を算定すると,慰謝料のみが不相当に過大になるという問題が生じてしまいます。そこで,例外的に,入通院期間だけではなく,実際の通院日数も考慮して慰謝料を算定するという扱いをする場合があります。

 こちらからは,原則にしたがって,2か月の入院,約5か月間の通院を前提として慰謝料請求(約170万円)をしました。

 対して,保険会社の主張は,実際の通院日数が少ないため例外的な扱いをすべきであり,慰謝料としては約125万円が相当であるとの内容でした。

 しかし,骨盤骨折の治療に対して7か月間という治療期間は通常想定される範囲内ですし,自宅で安静にしていた期間もあるわけですから,今回のケースで,実際の通院日数が少ないことを根拠に慰謝料の減額を求めることは不当です。

 最終的には,裁判所からの和解案が提示されました。内容は,当方の言い分を認める内容(慰謝料約170万円)でした。相手方も和解案に応じたため和解となりました。 

弁護士の目


 入通院慰謝料の計算にあたっては,入通院期間を原則とします。例外的に,実際の通院日数を考慮すべきケースとして,「赤い本」(損害賠償の算定基準が記載された実務書)によれば「通院が長期にわたる場合は,症状,治療内容,通院頻度をふまえ実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある」とされています。

 この原則・例外という関係は非常に重要なのですが,保険会社からの主張として,実際の通院日数が少ないケースでは機械的に例外的な処理をすべきとの主張がなされることが多くあります。例外が乱発されているのです。

 「赤い本」の基準では,通院が長期で,かつ症状,治療内容,通院頻度を総合考慮して例外的な扱いをする場合があるとの基準が明記されているのですから,これらの基準を満たすか否かを慎重に見極めて,賠償金額の妥当性を検証すべきです。

 

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