保険代理店向け勉強会【ケーススタディ】びまん性脳損傷で高次脳機能障害と診断された場合の人身傷害補償特約加入ついて
【ケース】
Aさん(男性・会社員)が,会社帰りに飲酒後,道路を横断していたところ,左方から直進してきたBさん運転の自動車と衝突。
びまん性脳損傷等の傷害。事故後,物忘れがひどく,怒りっぽい性格に。
高次脳機能障害の診断。
※高次脳機能傷害…脳の損傷によって起こされる様々な神経心理学的症状。典型的な症状として,認知障害,行動障害,人格変化。
1 交通事故事案の流れ
事故発生→ 治療 → 症状固定 → 等級認定 → 交渉 → 訴訟
2 受任~等級認定
(1)事故直後から受任し,適切な等級認定に向けたサポート(医師面談等)を実施。
(2)後遺障害等級7級の認定
※神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの
→労働能力が一般平均以下に明らかに低下しているもの
3 訴訟提起後
(1)主張した損害額(主なもの)
ア 入通院慰謝料 150万
イ 後遺障害慰謝料 1000万
ウ 後遺障害逸失利益 6000万
計 7150万
(2)Bさんの主張した損害額
ア 入通院慰謝料 100万
イ 後遺障害慰謝料 1000万
ウ 後遺障害逸失利益 4500万
計 5600万
(3)争点
ア 損害額 ※基礎収入の算出方法が争点となった
イ 過失割合 ※Bさんは8割の相殺を主張
4 和解
(1)過失割合は,65(Aさん):35(Bさん)で和解
(2)損害額はAさん主張の内容を前提に計算された
(3)Bさんの任意保険会社から,約1500万が支払われる。
【計算式】7150万×0.35(過失相殺)-1000万(既払い)
5 人身傷害補償特約
(1)人身傷害補償特約に加入していなかったら…
損害総額が7150万であるにもかかわらず,相手の任意保険会社から和解によって支払われた1500万と自賠責保険から支払われた1000万(既払い額)の合計2500万を受領するのみで終わり。
⇒つまり,7150万と2500万の差額である4650万は自己負担。
(2)人身傷害補償特約に加入していたAさんは…
Aさんの人身傷害補償特約から4650万の支払いを受けることができたため,結果として7150万の損害総額について填補を受けることができた
- 加害者無保険でも人身傷害保険によって裁判基準満額の回収をした事案
- 自転車乗車中の死亡事故について、裁判外で死亡慰謝料3100万円として示談が成立した事案
- 人身傷害補償保険を有効活用して過失減額分も含めた満額の補償を受けることができた事案
- 令和4年12月28日(水)~令和5年1月5日(木)年末年始休業に関するお知らせ
- 後遺障害の異議申立の手続から介入し、14級9号が認定された事案
- 3ヶ月で治療費を打ち切られたものの14級の認定を受け、裁判では治療費が全額認められた事案
- 保険会社からの過失相殺の主張に対して交渉で無過失の解決ができた事案
- Q.保険会社から治療費の打ち切りを言われたらどうしたら良いでしょうか。
- Q.後遺障害の慰謝料はどのような基準で決まりますか?
- Q.後遺障害はどのような手続で認定されるのでしょうか。