3ヶ月で治療費を打ち切られたものの14級の認定を受け、裁判では治療費が全額認められた事案

被害者の属性 20代 女性
事故の分類 追突
傷病名 頚椎捻挫

依頼のきっかけ

「買ったばかりの車両であるにもかかわらず、修理費しか損害として認定されないのはおかしいのではないか」ということでご相談に来られました。

また、同乗されていたご家族も負傷していたため、今後の保険会社との交渉について不安に思うところもありご依頼をされることとなりました。

後遺障害等級認定までのサポート

相手方の保険会社は、事故から3ヶ月経過したからということで、特段の理由を述べるわけでもなく、治療費の一括対応(保険会社が被害者に代わって病院へ治療費の支払をすること)を打ち切ると主張してきました。

当方としては、治療の必要性がある状態であったことから、治療を続け、その間の治療費については、医療機関の協力のもと、自賠責保険に直接請求をする手続をとりました。これによって、依頼者は、窓口払いをすることなく、通院を継続することができました。

半年間が経過した時点で、症状が残っていたことから、後遺障害の等級認定手続きをとったところ、頚部の痛みについて14級9号の認定がなされました。

交渉及び訴訟の経緯

ご相談のきっかけとなった車両の損害については、弁護士が代理人として、修理費と評価損(格落ち損)の請求をしました。しかし、保険会社の回答は「残価設定型クレジットであるため、所有者ではない人に評価損は認められない」というものでした。そのため、早期解決を実現することはできず、訴訟による解決の道へ進むことになりました。

怪我(人損)については、後遺障害の認定がなされた段階で、相手側から訴訟提起がありました。加害者側からの訴訟は、債務不存在確認請求といって、例えば「今回の事故の損害は〇〇円を超えて存在しない」ということの確認を求めて、裁判所の判断を仰ぐことができます。今回は、依頼者には3ヶ月目以降の治療費は認められない、後遺障害も認められない」という趣旨の訴訟提起がなされました。

これに対して、当方からも訴訟提起をしました(これを反訴といいます)。

訴訟で審理がなされた結果、①評価損については一部認める、②3ヶ月目以降の治療費は認める、③後遺障害も認めるという内容で、概ね当方の主張が受け入れられたことから、和解によって解決となりました。

弁護士の目 

評価損(格落ち損)については、争点となることが非常に多くあります。

特に、所有者がローン会社になっていたりすると、保険会社はほとんどの事案で、評価損の発生を否定します。形式的に、車の価値を把握しているのは車検証上の所有者だから、使用者に過ぎない者には車の価値が下落しても損害は生じないという論理です。

確かに、そのような解釈が妥当する事案も少なくありませんが、例えば信販会社が貸したお金の担保として所有者になっているにすぎない場合(所有権留保)等は、現実的にその信販会社が加害者側に車の価値の下落分を請求するということは想定できません。他方で、使用者も請求できないとなると、たまたま所有権留保がついていたという理由だけで、本来発生しているはずの評価損を誰も請求できず(請求せず)、加害者としては賠償義務を免れるという不公平な結果となってしまいます。

今回のケースでは、すでに依頼者が車を価値が下落した状態(金額)で売却しており、依頼者に現実的な損害が生じている状況であったことから、その点を重点的に主張・立証して、一部ではありますが、評価損が認定されました。

また、本件では、加害者側から債務不存在の訴訟提起がなされた事案です。被害者側からすると、「普通は逆ではないのか」という思いから、到底容認できない不当な行為であると感じますが、これに対して反訴という手続きをとることで、当方の請求を裁判上で審理してもらうことはできます。

今回のケースでも、反訴提起のうえ、保険会社側が何らの根拠もなく治療費の打ち切りをしたことが結果として不適切であったということが裁判上でも認められる結果となりました。

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