保険代理店向け勉強会【ケーススタディ】弁護士費用特約なしの被害者が追突事故に遭い頚椎捻挫、その後混合性不安抑うつ症を発症した事例
ケース
弁護士費用特約なし
Aさん(女性・会社員)が,右折進行するために,対面を進行する車両の通過を待って一時停止していたところ,Bさんの運転する車に後方から追突される。
頚椎捻挫。自覚症状が主体で,頸部の痛みと握力低下。
その後,症状が改善されないために,MRI検査を実施しようとしたところ,混合性不安抑うつ症を発症。
→外出ができない。気分が落ち込む。さらにはパニック発作。
1 保険会社の対応
MRI検査までの治療費は一括対応。事故後3カ月までの休業損害(約15万)は出す。
Aさんは,自己負担で精神科へ通院
2 等級認定
平成24年11月ころ,後遺障害診断書(最終版)を取得。
↓
被害者請求
↓
①頚部痛,右手の握力低下について,神経症状を残すとして14級9号
②混合性不安抑うつ症について,事故後数か月経過していることを理由に,因果関係を否定。
※因果関係について肯定されなかった点について,不満があったようだが,早期解決を希望されたので,異議申立はせず
3 加害者側代理人との交渉
【加害者側提案】 【結論】
(1)治療費
整形外科…既払い金のみ → 症状固定まで(平成24年6月)
精神疾患…認めない → 慰謝料算定の際に加算
(2)休業損害
15万(提示額・3カ月分) → 80万の請求に対し,50万円の限度で認める
(3)通院慰謝料
MRI検査時までを → 170万円
前提として約90万 ※平成24年6月分までの慰謝料(135万円)+精神科の治療費実費
4 ポイント
・症状固定まで2年半。解決まで約4年。症状のヒアリング(カウンセリング的なところも含めて),現状の把握のため打ち合わせ回数は非常に多かった
→内容を相手方代理人に伝える。
※これらを保険代理店においてすべて対応していただくと,本来業務に支障
・精神疾患との因果関係については,症状発症後,早い段階で相談をしていただければ,医師面談で意見を書いてもらう,症状発症時の状況を細かに記載してもらうなどの方法がありえた。本件では,医師が転院しており,意見書を書いていただけなかった。
→早期介入で証拠化が重要
※なお,人身傷害,搭乗者傷害に加入していたが,保険会社から案内がなかった(場合によっては,人身傷害等からの支払いにより打ち切り後の治療費がでた?)ことについて不満をもっていた様子。他社乗り換えを検討。
⇒早期に保険内容の説明をしたほうが,口コミの影響もあるので,メリットは大きいと思われる
- 腰痛について14級9号(神経症状)の事案で、慰謝料別表Ⅰをもとに裁判外で示談した事案
- 加害者無保険でも人身傷害保険によって裁判基準満額の回収をした事案
- 自転車乗車中の死亡事故について、裁判外で死亡慰謝料3100万円として示談が成立した事案
- 人身傷害補償保険を有効活用して過失減額分も含めた満額の補償を受けることができた事案
- 令和4年12月28日(水)~令和5年1月5日(木)年末年始休業に関するお知らせ
- 後遺障害の異議申立の手続から介入し、14級9号が認定された事案
- 3ヶ月で治療費を打ち切られたものの14級の認定を受け、裁判では治療費が全額認められた事案
- 保険会社からの過失相殺の主張に対して交渉で無過失の解決ができた事案
- Q.保険会社から治療費の打ち切りを言われたらどうしたら良いでしょうか。
- Q.後遺障害の慰謝料はどのような基準で決まりますか?