後見申立に必要な費用や後見人報酬は損害賠償請求の対象になりますか?

原付と自動車 60代
脳損傷 女性
1級1号(別表第1) 主婦
 
【ご相談内容】
 母が原付を運転中に交差点で自動車と衝突しました。

 母は,頭部を強く打ち,脳出血で意識不明の状態が続きましたが,奇跡的に一命をとりとめました。

 しかし,残念ながら脳損傷が原因で,重度の後遺障害を遺してしまいました。新しいことを憶えることはできませんし,引き算等の簡単な計算すらできません。

 そのため,母について後見開始の申立をして,親族が後見人に選任されたのですが,後見開始の申立にかかった費用や後見人に対して支払う報酬は損害賠償の対象になるのでしょうか。


【ご回答】
 
交通事故被害にあわれたことが原因で判断能力を欠く状態となった場合,加害者に対して損害賠償請求をするうえで,成年後見人を選任する必要があります。

 この場合,家庭裁判所に対して,被害者の方を成年被後見人として,成年後見開始の申立をすることになります。申立があれば,裁判所が,被害者の判断能力を確認したうえで,必要に応じて,成年後見人を選任する審判がなされます。

 申立には費用がかかります。裁判所へ納める申立手数料,登記費用,郵便切手代等です。また,後見人が選任された場合,その後見人が本人に代わって財産管理を行なったことの対価として,本人の財産から報酬が支払われます。

 今回のご相談の内容は,これらの費用や報酬が交通事故と相当因果関係の認められる損害であるかどうかという問題です。

 この点については,一部見解の分かれるところもありますが,

 ①申立手数料,登記費用,郵便切手代等の費用については損害賠償の対象になるとされています。ただし,申立費用とは別に,後見申立手続を弁護士に依頼した場合の弁護士報酬については,手続自体は紛争性がなく弁護士でなくともできることから,必ずしも相当因果関係があるとはいえず,損害賠償の対象にならないと考えられています。

 ②後見人に対して支払う報酬についても,事故と相当因果関係の認められる損害と考えられます。後見開始の審判がなされる以上,後見人が選任されるのは当然のことですから,その後見人に対して支払う報酬についても,相当な範囲内であれば事故との関係性が認められると考えられるためです。

 

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