後遺症を原因とする損害の時効はいつから起算するのでしょうか?
バイクと自動車 | 40代 |
大腿骨骨折 | 男性 |
12級13号 | 会社員 |
【ご相談内容】
私は,5年前に,バイクを運転していたところ,乗用車と衝突する交通事故被害に遭いました。大腿骨等を骨折する事故でした。
複数回の手術を繰り返し,3年ほど治療をして症状固定となり,2年前に,後遺障害12級13号の認定を受けました。
交通事故については時効の制度があると知人から聞きましたが,私の場合は事故から5年が経過してしまっています。時効にはならないか不安です。
【ご回答】
不法行為に基づく損害については,損害及び加害者を知った時から3年以内に加害者に対して請求をしなければ,消滅時効の制度により,加害者に対する損害賠償の請求ができなくなる可能性があります。
では,ご相談の件のように,治療に長期間の時間を要し,後遺障害が残存したものの,結果的に,事故から3年間が経過してしまった場合はどうなるのでしょうか。
この点,実務では,後遺症を原因とする損害については症状固定日から時効が進行すると理解されています。症状固定日から3年以内ということです。症状固定日=後遺症を原因とする損害の内容を知った時という理解に基づくものです。
今回のケースでも,原則として,症状が固定したと思われる2年前が消滅時効の起算点になるかと推測されます。したがって,原則して,まだ3年が経過していないため,消滅時効にかからないと考えられます。
しかし,さきほどの実務の考え方は,あくまで,症状固定日=後遺症を原因とする損害の内容を知った時という理解を前提としたものですから,理屈のうえでは,主治医が判断をした症状固定日以前に後遺症を原因とする損害の内容を知っていたと判断できる場合には,症状固定日より以前に消滅時効が起算するというケースもありうるかと思われますので,より詳細な検討が必要になってきます。
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