死亡事故の損害賠償
交通事故で大切な方をなくされたご遺族の方へ
皆様の大切な方が突然、交通事故に遭われ亡くなられてしまった場合にご遺族の悲しみは計りしれないものがあります。
ご遺族の方は、事故の報せを受けたあとはパニックになり、冷静でいられることはまずありません。しかし、葬儀の準備、被害者に代わって加害者加入の保険会社との交渉をしなければなりません。
そこで、ラグーンでは、損害賠償請求の交渉、この費用は保険会社から支払ってもらえるのかなどそれぞれの場面で発生する質問に逐一、相談を受けるといった方法で被害者遺族を全面的にサポートします。
死亡事故を発生させた加害者の種々の責任
刑事責任
死亡事故を発生させた加害者は,以下のような刑事責任を負う可能性があります。罪名については死亡事故の態様により決定されます。
① 過失運転致死罪
(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)
7年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金
② 危険運転致死罪
(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条)
1年以上の有期懲役(20年以下)
③ 業務上過失致死罪(刑法211条)
5年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金
行政責任
死亡事故を発生させた加害者には、行政責任として自動車運転免許の点数が加算され、約1年の免許取消処分を受ける可能性が高いといえます。
民事責任
死亡事故を発生させた加害者には、被害者のご遺族に対して被害者に生じた損害を賠償する責任が発生します。
ご遺族が行わなければならないこと
葬儀の準備等
当然ではありますが、ご遺族は被害者の葬儀を行わなければならないため、葬儀社との葬儀の打ち合わせ、予算の決定、費用の捻出、親族・知人・関係者への連絡などの対応により、事故直後の多くの時間を葬儀の準備に費やすことは避けられません。
示談交渉
(1) 請求することができる相続人は誰か
相続人は民法第887条以下に定められています。
父(母)が死亡した場合 → 母(父)と子
子が死亡した場合 → 父母
子が死亡し、父母も死亡している場合 → 兄弟姉妹 などです。
(2) 何を請求することができるか
ア 死亡慰謝料
以下の金額は、具体的な事情により増減が予定されています。
被害者が一家の支柱であった場合
約2800万円
被害者が母,配偶者であった場合
約2500万円
被害者が独身の男女、子供、幼児、高齢者等であった場合
約2000万円~約2500万円
イ 死亡逸失利益
(ア)死亡逸失利益とは、被害者が死亡事故以降に事故に遭っていなければ得られたであろう収入が、事故に遭ったことにより得られなくなってしまった利益のことをいいます。
(イ)生活費の控除
生活する上で必ず必要になる食費などの生活費は、収入から当然に支出が予定されているものですので、事故時の年齢から平均余命までの年齢までの生活費が死亡逸失利益から控除されることになります。
(ウ)主婦/主夫、未就労児童、高齢者のケース
主婦/主夫の場合には、家事労働に対して経済的価値が認められているので、主婦(夫)業であっても逸失利益を加害者に請求することが可能です。
未就労児童や高齢者の場合には、事故当時収入を得ていない場合が多いです。しかし、就労の蓋然性が認められれば逸失利益を請求することができる場合もあります。
(エ)逸失利益の計算式
【事故当時の収入-(1-生活費控除率)×就労可能年数のライプニッツ係数】
※例 被害者の年齢40歳 一家の支柱
被扶養者として妻と子1人がいる。
生活費控除率を30%と想定する。
年収500万円 就労可能年67歳
【500万円 ×(1-0.3)×18.3270(※令和2年4月1日以降に発生した事故の場合)
=6414万4500円】
※これは試算です。
ウ 葬儀費用
(ア)葬儀費用として加害者から賠償をうけることができる金額は原則として約150万円です。この金額についても具体的事情により増減が予定されています。
150万円を下回る場合には実際に支出した金額が認定される傾向にあり、香典返しにかかった費用は損害として裁判所に認めてもらうことは困難です。
(イ)仏壇、仏具購入費、墓碑建立費
(ウ)遺体搬送料
(エ)遺体処置費等
(イ)~(エ)までの費用は,具体的事情により葬儀費用とは別途損害として認められる場合があります。
仮払金の請求
事故後に葬儀費用を捻出することが困難な場合には、加害者加入の保険会社に賠償金の前払いを求めることができる場合があります。
また、加害者加入の任意保険会社が支払を拒んだときは、自賠責保険に対して一時金の支払いを求めることができます。
死亡事故で争点となりやすい問題
葬儀費用は適正な金額なのか。
死亡事故の被害に遭われたとしても社会的にみて相当な範囲を超える葬儀費用を加害者に対して賠償することはできません。あくまでも社会的にみて相当な範囲内で請求をすることができるにとどまります。
交渉や裁判などでは、どの程度の金額であれば相当かということが争われることがあります。上記で述べたように150万円前後であれば争いになることはすくないと思います。
後に争いになれば、保険会社から支払ってもらえると思っていたのに支払ってもらえないということになりかねません。
しかし、このような事態は保険会社と事前に打ち合わせをしておけば避けられる事態といえます。
過失割合
被害者が亡くなられたとしても被害者の過失が加害者の過失よりも大きく認定されることはあります。例えば、時速50キロメートル以上の速度違反があった、被害者が赤信号を無視していたなどがわかりやすいかと思います。その場合には、例えば被害者80%、加害者20%の過失割合だとすると、後に賠償される賠償金が80%分減額され、20%分の金額しか受け取れないことになります。
したがって、後記のように実況見分への立ち会いなどをとおして、事故の実態解明が非常に重要な活動になります。
事故と被害者の死亡の因果関係の有無
ご遺族が加害者へ賠償請求をするときは、交通事故と被害者の死亡との間に因果関係がなくてはなりません。交通事故を原因として被害者の死亡という結果が発生したという関係です。
被害者が事故により脳に強い衝撃をうけて即死したなどはこの争いはあまり起きません。即死の場合には脳実質に強い衝撃を受け脳実質が大きな損傷を受けた場合が多いからです。
死亡慰謝料の金額
死亡慰謝料は、上記のとおり、一定の目安があります。しかし、加害者がひき逃げをしたり、酒酔い運転をしていたり、未来のある子供が被害者であったりと種々の事情から慰謝料の金額が増減されるため、交渉や裁判では大きく争われることがあります。
死亡逸失利益の金額(特に、年少者や高齢者のケース)
40歳、50歳の被害者であれば、安定した収入を得られている方が多いので、被害者の収入に関して争いになることはとりわけ少ないと考えられます。
しかし、年少者の場合、未だ大学に進学するのか、就職先はどこになるのか、国家資格をとるのかといったことが不明なまま亡くなってしまいますので、被害者の年少者が将来どれだけの収入を得られる見込みであったのかということを裁判所は認定しなければなりません。
賃金センサスという指針はあるものの、やはりご遺族と加害者の間に大きく争われる点になります。
ラグーンのサポート
仮払金の請求
事故は突然発生し、ご遺族への被害者が死亡した報せも突然にきます。したがって、葬儀費用など突然に多額の金額が必要になることが予想されます。そのようなときに、費用が捻出できないからといって葬儀を行わないという事態になってしまいます。
そこで、加害者加入の保険会社に損害金の前払いを求めることができます。しかし、後々争いになりそうな損害については前払いをしてもらえません。
したがって、当該費用がどれだけご遺族にとって必要であるか、損害として適切な金額を請求しているのであり、不当に高額な金額ではないことを交渉していかなければなりません。
このような活動はまさに弁護士が得意とする交渉業務の一環ですので、ラグーンでは損害賠償請求の代理交渉だけではなく、仮払金の請求などの示談交渉に至るまでのサポートも行っています。
自賠責保険への請求
⑴ 加害者加入の保険会社(任意保険会社)が交渉によっても損害金の前払い(仮払金)に応じない場合,自賠責保険への請求をすることが考えられます。
自賠責保険は被害者救済を目的とする強制加入保険です。任意保険会社が支払に応じない場合に、被害者側は、直接、自賠責保険へ賠償金額の支払を請求することができます。
⑵ 自賠責保険への請求は2種類あります。
ア 1つは本請求と呼ばれるもので3000万円の範囲内で支払がされます。
イ もう1つは仮渡金の請求です(「仮払金」とは異なります)。本請求の場合、まとまったお金の支払がされますが、必要書類が多く入金までに時間を要します。このような場合に仮渡金の請求をすると、さしあたりの費用として290万円の支払が迅速になされます。
⑶ このような手続を弁護士に依頼することで、本来発生すべきではない経済的な問題についても速やかに解消することができます。
交通事故の実況見分への立ち会い
死亡事故では、損害額が高額になる事案が多く、被害者に過失割合が存在するとなると、多額の金額が過失相殺により減額されてしまいます。
したがって、弁護士がご遺族や被害者の同乗者の方々と実況見分の立ち会うことで、後に重要な証拠となるであろう実況見分調書が適切に作成されるよう活動しています。
このような活動は、その後、加害者に損害賠償を行う際の裁判や交渉で大きく結論を変化させることがありますので、非常に重要な活動になります。
刑事裁判への被害者参加
死亡事故では多くの場合に、過失運転致死罪、危険運転致死罪等により加害者が起訴されるでしょう。
その際に、ご遺族の気持ちを少しでも刑事裁判へ反映させるべく、被害者が刑事裁判に参加していく制度があります。それが被害者参加制度と言われるものです(刑事訴訟法316条の33以下)。
ご遺族は、法廷に立ちご遺族の悲しみや加害者に対する気持ちを話すことができます。これは手紙を読む形でも許されており、この手紙について裁判官が提出を求めることもあり、加害者の量刑に影響を与えます。また、ご遺族が加害者に対して直接質問をすることもできます。
しかし、ご遺族の方にとって刑事裁判へ参加することは、初めての経験でしょうから、弁護士が手紙の文章構成をしたり、ご遺族の代わりに手紙を読んだり、ご遺族の代わりに加害者へ質問をするなどのサポートができます。
相談をすべきタイミング
事故直後がベスト
被害者が事故に遭い死亡した報せを聞いた直後は、ご遺族はパニックになるのが当然です。「明日の仕事は休まなければならない。」、「葬儀費用はどうしよう。」など色々考え、「弁護士に相談をしよう」と考える人はあまりいないでしょう。
しかし、パニックの状態であっても加害者加入の保険会社からご遺族に電話がかかってくることもあります。「こんな状況で保険会社と交渉なんてできない。」と考えるのが通常でしょう。
そこで、弁護士に代理交渉を依頼すれば、保険会社はご遺族に対して直接連絡することができなくなり、弁護士を通じて連絡を取らざるを得なくなるので、保険会社からの再三の電話連絡を防ぐことができます。
また、突然必要になる葬儀費用等についても、弁護士から保険会社に仮払金の請求を代行することもできるので、ご遺族の方は葬儀の準備などに集中することができます。
したがって、弁護士に依頼するのが早ければ早いほどご遺族の負担を軽減することができるでしょう。
時間が経っていても大丈夫
事故から弁護士に相談するまでに時間が経過していたとしても、得られる利益は大きいです。
例えば、過失割合の判断はどのようにするのか、その判断材料になる証拠はどのように集めたらいいのか、被害者の収入はどうやって証明するのかなど様々な法的問題が発生します。
これは、法律の専門家である弁護士でなければ十分な主張・立証ができず、本来賠償を受けることができる賠償金が減額になったりすることもあります。
賠償金額が高額になる死亡事故では加害者も必死に争ってきますので、弁護士に相談し、代理交渉、訴訟活動を任せるのが最善の方法だと思います。
仮払金の請求
保険会社は一つの会社です。したがって、上層部の決済がなされなければ保険金は支払われません。しかし、ご遺族は直接に保険会社の上層部と話合いができるわけではありません。連絡窓口となっている保険会社の事故担当者としか話ができないのが原則です。
そこで、いかに仮払金を支払ってもらうかという観点からいえば、保険会社の担当者を納得させなければなりません。
葬儀の準備など様々な対応に追われているご遺族が、どのようにしたら仮払金を支払ってもらえるのかと考えている暇はありませんし、交渉業務を得意とする弁護士に任せてしまった方が得策でしょう。
まとめ
これまでみてきたように、死亡事故には色々な問題が発生し、ご遺族は精神的、肉体的に負担を抱えることになるでしょう。
そこで、ラグーンでは、死亡事故に遭われなくなった被害者のため、ご遺族の負担をできる限り軽くするために全力でサポートします。
ラグーンの解決した死亡事故に関する事件