人身傷害補償保険を有効活用して過失減額分も含めた満額の補償を受けることができた事案
被害者の属性 | 40代 女性 |
事故の分類 | 交差点で側面衝突 |
傷病名 | 腰椎捻挫、頚椎捻挫 |
依頼のきっかけ
通院をしている整形外科からの紹介で、ラグーンへご相談に来られました。過失割合がなかなか決まらなかったこと、また、主治医からは後遺障害があるかもしれないから早めに依頼をしておいた方が良いというアドバイスがあったことから、ラグーンへのご依頼を決断されました。
交渉・訴訟の経緯
治療を継続しましたが、腰痛については完全には回復しませんでした。腰椎の椎間板に異常所見が認められたことから、症状固定となった後に、後遺障害の申請手続をしました。結果は、「局部に神経症状を残すもの」として14級9号の認定がなされました。
当初は、裁判外での早期解決を図るために交渉をしていましたが、特に過失割合について双方の言い分に折り合いがつかなかったため、速やかに訴訟提起を行うことになりました。
裁判では、特に休業損害と過失割合が争点となりました。
休業損害について、当方の主張は主婦としての休業損害を主張するものでした。相手側としては、当方が会社に勤務していてフルタイムで働いていたこと、会社の仕事はほとんど休んでいないことから、主婦としての休業損害は認められないという言い分でした。
この点について、当方からは、仕事を休む話と家事を休む話は次元が異なる話であることを指摘し、実際に経験した家事への悪影響の具体的な内容を細かく主張・立証をしました。
過失割合については、現場の道路の交差点内にうっすらと実線があったことから、本件事故現場が相手方からみて優先道路であるのか否かという点が争点となりました。
この点については、当方側が非優先道路であれば過失割合は大幅に当方が不利になる状況でしたが、現場の実線が通常の通行者にとって簡単には判別できないほど薄れていること、警察が作成した実況見分調書においても優先道路との記載はないこと等を指摘して、優先関係のない通常の交差点であることを前提とした主張・立証を行ないました。
裁判所の和解案では、当方に主婦としての休業損害が発生していること、本件事故現場は優先道路ではなく通常の交差点であることを内容とする解決案が示され、依頼者にとっても納得ができる内容であったため、和解に応じ、相手方の同意も得られたことから、和解が成立しました。
また、依頼者にも過失があることで減額される部分については、別途、依頼者が加入していた保険会社の人身傷害補償保険から裁判所が認定した損害額を基準に支払を受けることができたため、最終的には過失がない場合と同様の解決を図ることができました。
弁護士の目
保険会社側から「仕事を休んでいないから、家事の休業もないはず」という指摘がなされることはよくあります。しかし、「仕事は簡単には休めないけど、家事は家族に手伝ってもらうことができる」という状況は現実問題としてよく直面する事態です。そのため、仕事を休んでいなくても、主婦としての休業の実態があるのであれば、この点を保険会社側にも理解してもらって、適切な補償を受ける必要があります。
また、自身に過失があるときでも、ご加入の自動車保険の人身傷害補償特約(多くの契約で付保されています)を有効活用することで、実質的には人身損害について無過失と同様の補償を受けることができるようになります。人身傷害補償特約は、原則として、事前に決まった金額しか払われない内容のものですが、例外的に「裁判で裁判基準による損害が認定された場合にはその基準にしたがう」とされていますので、裁判で解決したときは事前に決まった金額を超えて、実損が補填される内容になっています。そのため、事案によっては、訴訟提起をしたうえで解決することが満額の補償を受けるうえで望ましいというケースも存在します。
これらのことは弁護士等の専門家でなければ分からないのが通常です。交通事故で被害を受けて、その後の補償でも不十分なものしか受け取ることができずに二次被害を受けることがないように、早い段階で、弁護士に相談することが大切であるといえます。
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