四輪車同士の正面衝突事故で過失割合と慰謝料に納得できません
四輪車同士 | 30代 |
肋骨骨折,頚椎捻挫等 | 女性 |
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【ご相談内容】
交差点を直進していたところ,対向車線を右折進行してきた車両と正面衝突する事故に遭いました。相手方は,相手方の車両は既に右折を開始していたので6割の過失相殺がなされるべきと主張しています。この過失割合の提示は正当なのでしょうか。
また,保険会社は,私が実際に治療した期間が短いため,過失割合も考慮すると慰謝料として支払うのは5万円程度であると主張していますが,金額的に納得できません。
【ご回答】
過失割合については,別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍で,事故類型ごとに基準となる割合が示されています。
ご相談の件については,事故現場の交差点に信号機が設置されていたのか否かによって基準となる割合は異なりますが,直進車と右折車の基本となる過失割合は,直進車20:右折車80とされています。
相手方の主張は右折を開始していたから6割の過失相殺とのことですが,右折を開始していただけでは大幅な過失割合の修正はなされません。「既右折」の場合に過失割合を修正しますが,「既右折」の定義は,右折が完了していること又はそれに近い状態にあることとされていますので,今回のご相談の件では単に右折を開始していただけであるため「既右折」の認定にはならない可能性が高いと思われます。
また,慰謝料については,原則として通院期間をもとに算定されます。したがって,痛いけど忙しい等の理由で早期に治療を終えてしまい,結果として通院期間が短ければ,残念ながら慰謝料も低くなってしまいます。
さらに,過失が認められる場合には,ご自身の過失割合分が減額されてしまいます。
過失相殺が問題となりそうな事案では,そもそも損害額が適切かをチェックして,次の過失割合は適切かという点をチェックすることが重要となります。
大幅に過失相殺される事案においても,人身傷害補償保険等のご自身が加入している保険から支払われる保険金によって,減額された分を補填できる場合もありますので,ご自身の保険内容をしっかりと確認されることも重要です。
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