詳細な後遺障害診断書の作成により後遺障害等級12級の認定を受けることができた事案
概要
被害者の属性 | 40代 男性 会社員 |
事故の分類 | 助手席に同乗中,後方から追突 |
負傷部位 | 腰 |
傷病名 | 腰椎捻挫 |
後遺障害等級 | 12級13号 |
賠償金額 | 1000万円 |
依頼のきっかけ
依頼者は,事故後,ひどい腰痛に悩まされるようになりました。
朝起きた直後は腰痛のため身動きをとることができなかったり,長時間歩くことができなかったりと,仕事や日常生活でも多大な影響がでている状況でした。
相談に来られたときはまだ治療中でしたが,今後,自分の症状について,適切な後遺障害の認定がされるのか不安になり,また治療に集中したいという思いもあったため,ラグーンにご依頼されることになりました。
後遺障害等級認定までのサポート
受任後,医療記録を取り寄せ,後遺障害等級認定の可能性を検討しました。
経過の診断書や診療報酬明細書等を確認したところ,依頼者が症状を少しでも緩和するために,痛み止めの種類を調整したり,整骨院を併用したりと努力している状況がみてとれる内容でした。
依頼者の治療状況を把握したうえで,医師面談を実施しました。ラグーンでもこれまで数回面談をお願いしたことがある主治医で,非常に親身になって話を聞いてくれる先生でした。後遺障害診断書の作成について快く引き受けていただくことになりました。
面談時の説明を踏まえ主治医に作成していただいた後遺障害診断書には所見や検査結果について,非常に詳細な記載があり,依頼者の症状を的確に反映した納得のいく後遺障害診断書を取得することができました。
被害者請求の結果,自賠責保険会社から「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号に該当するとの判断が出されました。
交渉の経緯
後遺障害等級認定の結果について,依頼者も納得していたため,速やかに相手方と交渉を開始することになりました。
本件では1点ほど争点になることが予想される事情がありました。
依頼者が会社の役員で,かつ事故後の減収がないという事情です。
当方の請求に対して,想定していたとおり,相手方から,休業損害も発生していないし,減収も生じていない,だから後遺障害逸失利益は発生しないという主張がなされました。
しかも,相手方は,裁判外での早期解決に応じるので,慰謝料についても裁判基準の8割程度しか払えないという主張を追加し,賠償金額の提案内容は極めて不合理な内容でした。
しかし,本件では,依頼者に減収が生じていないのは役員であるからではなく,依頼者の特別な努力によるものであること,むしろ将来的なところを考えれば昇進の可能性が低下し,減収はなくとも昇給の見込みが低下しているという事実関係が認められました。
そこで,依頼者とも打ち合わせをして,相手方との協議を重ねたところ,最終的には,裁判になった場合を視野に入れ当初の当方からの提案内容から多少の減額には応じたものの,後遺障害逸失利益の全額の支払いに応じてもらうことができました。
弁護士の目
適切な後遺障害等級の認定を受けるためには,主治医の協力が不可欠です。後遺障害診断書を書いてくれても,被害者の症状を正確に記載していないというケースは多々あります。
不十分な後遺障害診断書であるために,後遺障害等級が認定されていなかったり,低い等級しか認定されなかったというケースが残念ながら存在します。
そのため,医師面談をして,後遺障害診断書に記載をしていただきたい内容を説明すること代理人としての重要な役目であると考えています。
また,本件では,後遺障害逸失利益の有無も争点となりました。特に,本件のように,会社役員をされており,なおかつ減収が発生していない場合には,必ずと言っていいほど,相手方から,後遺障害逸失利益は発生していないという主張がなされます。
逸失利益の有無については,基本的には将来の不確定な話であるため,裁判においても詳細に主張・立証をしなければなりません。そのため,裁判になった場合の立証可能性も視野に入れて,交渉をする必要があります。
本件では,所得証明等の客観的な資料からはやや不利な状況でしたが,事情を詳細に説明することで,最終的には相手方保険会社を説得でき,依頼者にも大変満足していただけました。
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