外傷性頚部症候群,外傷性腰部症候群等の傷病で,耳鳴りや手足の痺れの自覚症状が継続している被害者について,他覚的所見が乏しかったにも関わらず,耳鳴りに関して12級相当との判断がなされ賠償金1,000万円を獲得した事例
概要
外傷性頚部症候群,外傷性腰部症候群等の傷病で,耳鳴りや手足の痺れの自覚症状が継続している被害者について,他覚的所見が乏しかったにも関わらず,耳鳴りに関して12級相当との判断がなされ賠償金1,000万円を獲得した事例
被害者の属性 | 50代 男性 会社員 |
事故の分類 | 信号で停止中に,追突された |
負傷部位 | 首、腰 |
傷病名 | 頚椎捻挫,外傷性頚部症候群,腰椎捻挫,外傷性腰部症候群 |
自覚症状 | 両上肢の痺れ,耳鳴り |
後遺障害等級 | 12級 |
賠償金額 | 1,000万円 |
依頼のきっかけ
信号で停止中に,加害車両から追突をされ,頸部に強い衝撃を受けました。依頼者は,両上肢や脚に痺れを感じましたが,ひどい耳鳴りも経験するようになりました。聴力の検査などを実施しましたが,異常は見当たりませんでした。
依頼者は,治療にも不安を抱えるのか,交通事故の手続きがどのように進んでいくのかとても不安に思っていました。
依頼者が加入の任意保険に弁護士費用特約が附帯されていたため,弁護士に依頼をしようと,インターネットで調べていたところ,交通事故に詳しい事務所として,弁護士法人ラグーンに来所されました。
後遺障害等級認定までのサポート
激しい耳鳴りを経験されていたため,まずは治療に専念して頂く必要があると思われる状況でした。そこで,弁護士としては,まずは激烈な痛みを抑えてもらうためにペインクリニックへの通院を指導することにしました。
耳鳴りの原因ははっきりとはわかりませんでしたが,ペインクリニックに通院を重ねることにより,耳鳴りの症状の改善がみられるようになりました。
6か月間通院をしてもらい,これ以上症状の改善が期待できないという状態となりましたので,事故日から6か月後に症状固定となりました。
症状固定後,弁護士はまず医師面談を行いました。外傷性頸部症候群や耳鳴りを立証するための資料を整えたうえで,自賠責保険会社に対して,被害者請求をしました。
交渉の経緯
被害者請求をしたところ,12級相当と判断されました。他覚的な所見が乏しい耳鳴りで,12級相当と認定されるのはとてもまれなケースといえます。
自賠責で認定された等級を前提として,相手方の任意保険会社と交渉に入りました。相手方任意保険会社は,傷害慰謝料,後遺障害慰謝料については裁判基準通りの金額の支払いの意向を示しましたが,後遺障害の逸失利益の労働能力喪失期間をいつまで認めるかと言う点で,争点が顕在化しました。相手方任意保険会社の言い分としては,自覚症状しか認められない耳鳴りでは,労働能力喪失期間は,制限されるべきであるというものでした。
そこで,弁護士としては,依頼者が従事している職種や業務内
容を整理して,今後耳鳴りによって,逸失利益が認められることを書面によって主張しました。依頼者は主にドライバーの業務をこなしていましたが,ドライバーの監督や指導,車両管理,場合によってはコンプライアンス業務もこなしていることがわかりましたので,耳鳴りによって,事務作業に大きな影響を及ぼすことの主張は比較的容易に行うことができました。そして,労働能力喪失期間については,定年退職時までの年齢まで,喪失期間が認められることで,保険会社と合意に至りました。
示談結果(細かい損害項目者省略)
傷害慰謝料 | 10万 |
後遺障害慰謝料 | 290万 |
後遺障害逸失利益 | 600万 |
合計 | 1000万 |
弁護士の目
手足の痺れや耳鳴りなどの自覚症状が継続している場合,他覚所見がある場合には,その立証が容易ですが,自覚症状しか存在しない場合には,それをどのように立証するのかは非常に難しい問題です。事故状況,通院状況,治療経過などから,自覚症状を基礎づける事実を主張していく必要があります。
今回のケースで,依頼者の方が幸いだったのは,受傷直後から弁護士に依頼をされたという点です。そのことにより,適切な通院指導を受けることが可能となりました。ペインクリニックに通ってもらい,耳鳴りの治療を開始してもらうことで,症状を若干改善することができました。
もっとも,ペインクリニックに通い治療を尽くしたにもかかわらず,耳鳴りが残存してしまったため,後遺障害の申請をすることにしたのです。
等級の申請については,相手方の任意保険会社経由で行う「事前認定」ではなく,「被害者請求」を行うことで,適切な判断を受けることが可能となりました。
等級取得後,保険会社と交渉に入りまいたが,弁護士が介入しているため,傷害慰謝料,後遺障害慰謝料については,裁判基準通りの金額で合意に至りました。逸失利益についても,依頼者の職種や業務内容を詳細に立証することで,保険会社を説得することに成功し,ほぼ裁判基準通りの賠償金額の獲得に成功しました。
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