60代の兼業主婦で賃金センサス女性平均の収入が認定された事案

被害者の属性 60代 女性
事故の分類 交差点で正面衝突(同乗者)
傷病名 骨盤骨折等

依頼のきっかけ

 家族で出かけていたところ,同乗していた車と対向車が正面衝突し,骨盤骨折の大怪我を負いました。

 初めての交通事故で右も左も分からない状況でした。他の同乗者がラグーンに依頼をしていたため,依頼者も同じくラグーンへ依頼することになりました。

       

後遺障害等級認定までのサポート

 骨盤骨折でしたので,事故直後は入院をして治療に集中していただきました。

 退院後も定期的に通院をしましたが,おしり付近の痛みが消えなかったため,後遺障害として認定してもらうことを検討しました。

 当初,依頼者が主治医に症状を伝えたところ,主治医から面倒そうな態度を取られたそうです。依頼者としては,きちんとした診断書を作成してもらえるのか不安を抱えている様子でした。

 そこで,ラグーンでは後遺障害診断書の目的や重要性を正確に主治医に伝える必要性があると考え,主治医との面談をお願いしました。弁護士が主治医とお会いして話をしたところ,主治医は被害者の方が二次被害・三次被害を受けないために正確な診断書が必要というこちらの趣旨を理解し,結果的には納得のいく診断書を作成いただくことができました。

 ラグーンにて後遺障害の等級認定の申請をしたところ,「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号の認定を受けました。

 

交渉・訴訟の経緯

 訴訟提起をしたところ,加害者側は全面的に争ってきました。 

 争点となったのは,主に休業損害(治療中に仕事を休んで得られなかった収入の補償)と逸失利益(怪我によって失った将来の収入の補償)でした。

依頼者は主婦で,パート収入がありました。加害者側は,パートをしているし,60代であり人によっては定年を迎えている年齢でもあるため,若い専業の主婦に比べて家事の量は少なかったはずだと主張して,主婦の収入として一般的に採用されている賃金センサス女性平均賃金の7割程度が妥当と反論しました。

 当方からは,パート収入があることで専業主婦と比較して不利な条件となることは公平性を欠くこと,70代でも現役で働いている人はいて,実際に依頼者は夫が家事をしないことから,すべての家事を担当していたことなどを詳細に主張して加害者側の主張の不当性を指摘しました。

 結果的に,当方の主張が採用されて,賃金センサス女性平均の収入が認定される内容で無事解決しました。

 

弁護士の目

 主婦(主夫)の方の損害の考え方について,50歳代くらいまでの専業主婦の方であれば賃金センサス女性平均賃金をベースにすることで実務上ほぼ争いはありませんが,兼業(仕事をしている)主婦の方であったり,60歳代以上の主婦の方であったりすると,保険会社が賃金センサス女性平均賃金をベースにすることについて,争ってくるケースがよく見られます。

 理屈は本件の加害者側の主張と同じような内容です。要するに一般的な専業主婦に比べて家事の量が少ないはずであるという主張です。

しかし,裁判では,兼業主婦のケースですと,仕事での現金収入が賃金センサス女性平均賃金を超えるような場合を除いて,パート収入が少ない場合であっても賃金センサス女性平均賃金を採用するのが通常です。

また,80歳代や90歳代の場合には,賃金センサス女性平均賃金を一定割合で減額した収入をベースに損害を算定するケースも見られますが,60歳代で減額するケースはあまりない印象です。しかも減額された事案は,あくまで家事の量が一般的な主婦(主夫)よりも少なかったであろうという実態を考慮して実質的な判断がなされたうえで減額されているのが通常です。

主婦(主夫)の休業損害,逸失利益については,「兼業」「高齢」という言葉が独り歩きして,加害者側から減額の主張が過度になされる傾向があります。あくまでその被害者の方の実態に即した実質的な判断がなされるべきで,「兼業」「高齢」という形式的な理由で不用意に妥協すべきではありません。

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