【後遺障害12級13号】後遺障害逸失利益について就労が可能とされる67歳までの22年間の逸失利益を獲得した事例②
被害者の属性 | 40代 男性 |
事故の分類 | 出会い頭事故 |
傷病名 | 左肩鎖関節脱臼,右膝関節打撲,頸椎捻挫 |
後遺障害 | 12級5号 鎖骨,胸骨,肋骨,肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの |
依頼のきっかけ
本件事故の態様は,Gさんがバイクに乗っていて横から飛び出してきた自動車に衝突されて左肩が脱臼するなどの重傷を負いました。
治療を継続していましたが,鎖骨が変形したままくっついてしまい,その結果左肩を十分に挙上することができなくなってしまい,今後の仕事への影響,年齢を重ねた際の症状の悪化から,適切な賠償金を受領しなければ将来の生活に不安が残るということで,ラグーンに来所されました。
交渉の経緯
まず,担当弁護士は,医療記録等を保険会社から取り寄せ,Gさんに発生した損害額を積算し,保険会社へ請求をかけました。
すると,保険会社は,逸失利益の労働能力喪失期間について「後遺障害が12級なので,10年間のみなら支払います。」という回答をしてきました。金額にするとこちらの請求の2分の1程度の金額です。
ここに簡単に労働能力喪失期間の説明をすると,後遺障害が認められると等級の高低などに応じて労働能力を5%~100%失ったという評価を受け,一般的に就労が可能な67歳までの間,後遺障害がなければ得られたであろう将来の収入の失ったとされる労働能力の割合だけ,収入が減少するであろうからその分を逸失利益という名目の損害を請求することができる場合があります。したがって,Gさんの場合でいえば,40歳と仮定すればあと27年間の逸失利益を請求しうる可能性があります。
上述の保険会社の回答は,本来27年間の逸失利益を請求しえるのに10年間分だけであれば支払いますと言ってきたのです。
たしかに,神経症状ですと時間の経過とともに症状が和らいでいくこともあるらしく,12級の神経症状であれば労働能力喪失期間を10年間に限定するという裁判例も出されているところです。
しかし,Gさんに認められた後遺障害は,12級5号の鎖骨,胸骨,肋骨,肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すものですので,神経症状ではありません。
したがって,保険会社の回答の根拠となる裁判例と本件は状況が異なることを保険会社に説明し,27年間分に近い金額で保険会社と合意をすることができました。
弁護士の目
本件の特徴としては,保険会社の担当者が適切な知識に基づき論理的な主張をするとは限らないということでした。担当弁護士が12級の神経症状の場合には労働能力喪失期間を10年に制限するという裁判例の理由を説明した際に,保険会社の担当者はその裁判例の意味をよく理解してないことがわかりました。
もちろん保険会社の担当者が法的な知識を備えているのがベストな状態だとは思いますが,なかなかそうはいかないでしょうから,説得をするためには保険会社を説得するような説明ができなければ,合意には至れませんでした。
ましてこのような交渉や説明を弁護士でない方が行うことは,困難を伴うことは容易に想定できます。したがって,弁護士の活用を検討してはいかがでしょうか。
まずは,弁護士に相談をしてみてください。
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