68歳男性の事故による退職後の休業損害が認められた事案
被害者の属性 | 60代 男性 |
事故の分類 | 横断歩道を歩行中に車と衝突 |
傷病名 | 骨盤骨折等 |
後遺障害 | 併合11級 |
依頼のきっかけ
骨盤骨折等の重傷を負った後、入院をしていましたが、保険会社の担当者とのやり取りで約束を守ってもらえなかったり、高圧的な対応を取られたりしたため不信に思い、周りでサポートしていたご家族の勧めでラグーンに相談されました。
後遺障害等級認定までのサポート
骨盤骨折(骨頭部や寛骨臼を損傷)によって長期間の入院を余儀なくされました。
依頼者は、リハビリも順調に進んでいましたが、人工関節置換術という手術を受けるかどうかで悩んでいるご様子でした。人工関節置換術を受けた場合、それだけで後遺障害は8級程度となります。しかし、身体に対する負担が大きいため悩んだ末に手術はしないまま後遺障害の等級認定を受けることにしました。 後遺障害の等級認定手続(被害者請求)をとったところ、1関節の機能障害として12級、臓器機能障害として13級で併合11級の認定がなされました 。
交渉及び訴訟の経緯
依頼者は、事故当時、68歳でしたが会社に勤務していました。定年後の再雇用で1年契約が数回更新されているという状況でした。しかし、事故によって休業期間が長くなったことから、契約更新とはならず、そのまま退職を余儀なくされました。相手方の保険会社は、契約更新されなかったのは高齢のためであるとして、退職して収入がなくなったことと事故との因果関係はないとして争いました。
当方が訴訟提起をしたところ、裁判所は、退職については事故による影響であり、かつ事故がなければ退職時期以降も就労していた可能性が高いとして当方の主張を認める内容の判断をしました。決め手となったのは、ラグーンから元の勤務先にあてた照会文の回答でした。元の勤務先からは、同僚で契約更新が繰り返され73歳まで勤務している例もあること、依頼者の人事評価は良好で事故による休業がなければ契約更新の見込みであったという趣旨の回答が得られていました。そのため、裁判所としても退職時期以降に就労していた蓋然性は認められるとして上記のような結論となりました。
弁護士の目
会社に在籍したまま休業を継続しているケースでは、定期的に休業損害証明書という書類が会社によって作成されますので、比較的休業損害の発生や内容について争いにはなりにくい傾向にあります。
しかし、休業が長期化した等の理由で会社を退職することとなった場合には、退職後の休業について会社が証明することはできませんので、休業損害証明書は作成されません。
このような場合に、退職をきっかけとして、以後の休業損害の発生を保険会社から否定されるというケースを見かけることがあります。
この点、退職したから以後の休業損害は発生しないということにはならず、事故がなければ雇用関係を継続していた蓋然性が認められるかぎり、退職後の休業損害についても補償の対象となります。
しかし、現実的には、本件のようなご高齢の方のケースにおいて、雇用継続の蓋然性を立証する際に困ることは多くあります。本件は、会社の協力があったことでその立証責任を果たせた事案でした。
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