逸失利益の計算上の基礎収入をどのように認定するのかが問題となった事案
被害者の属性 | 30代男性 |
事故の分類 | 相手方の運転する自動車がカーブで反対車線に飛び出し、依頼者の運転する自動車と正面衝突した事案 |
負傷部位 | 首、腰 |
傷病名 | 外傷性頸部症候群,腰部捻挫 |
後遺障害等級 | 14級9号 |
依頼のきっかけ
被害者は,事故当時,職業安定所で職業訓練で収入が低く,保険会社から提案された後遺障害逸失利益の金額が極めて低額でした。ご自身で交渉をされていましたが,ご自身での交渉に限界を感じ,当事務所にご相談に来られました。
交渉の経緯
被害者としては,職業訓練は,訓練者が一社会人として通常の収入を得ることができるようになるために行われるものであることから,事故直前の収入で逸失利益を計算されるのは納得がいかないということでした。
弁護士が相手方保険会社と交渉し,事故直前は職業訓練中であったが,それ以前は年収200万円程度であったことなど将来においては事故直前の収入よりも多くの収入を得られたであろうことを説明し,当初の提案額よりも多い逸失利益の金額で和解することができ,解決となりました。
弁護士の目
交通事故賠償においては,原則として,事故直前の収入をベースに,後遺障害逸失利益を計算します(後遺障害逸失利益については,コラムをご覧ください)。ところが,本件のように,元々は相当な収入が得ていた者が,偶然,事故直前においては低い年収となっていたということがあります。
このような場合,被害者が元々の収入をベースとした逸失利益を請求しようとすると,将来,過去に得ていた収入程度の収入を得られた可能性が高いということを証明しなければなりません。しかし,この立証は,一般的に困難を伴います。
訴訟(裁判)の場合,立証を求められますが,交渉段階においては,逸失利益自体を増額するのではなく,このような事情を慰謝料の考慮要素として慰謝料を増額するなど,柔軟な解決がなされる場合があります(訴訟でも,途中でそのような柔軟な和解がなされることがあります)。
立証が難しいのでは?と思うような事案でも,粘り強く交渉することで好転するケースもありますので,諦めずに,まずは弁護士にご相談ください。諦めるのは相談したあとでもいいと思います。
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