一人暮らしの無職女性に逸失利益と休業損害が認められた事案

概要

 

被害者の属性 70代 女性 無職
事故の分類 自転車を運転中に後方から進行してきた自動車に追突されたもの。
負傷部位 骨盤,股関節
傷病名 骨盤骨折
後遺障害等級 併合11号

依頼のきっかけ

依頼者は,骨盤骨折の重傷を負いました。
 子らは遠方に住んでいましたが,心配をして事故後すぐに病院へ駆けつけました。
 病院で,保険会社の担当者から,子らが駆けつけたときの旅費の一部については支払いができない可能性があるとの発言があったため,納得ができず,今後の対応にも強い不安があったために来所されました。

後遺障害等級認定までのサポート

 事故直後のご相談でした。
 ご家族は,かなり動揺しており,今後の流れについて強い不安を感じておられました。 まずは手続の流れをご説明し,後日,ご本人の体調が安定してから正式に受任することになりました。
 症状固定後,被害者請求によって,後遺障害等級認定を受けました。骨盤骨折後の股関節の機能障害について12級,坐骨痛について12級,併合11級の判断でした。

交渉の経緯

依頼者は事故時,無職で一人暮らしをしていました。そのため,勤労による収入は特にありませんでした。しかし,近所に住んでいる長女の子(孫)の送り迎えや子守り(食事等も含む)を毎日のようにしていました。
 長女の子は,事故によって子(孫)を依頼者に預けることができなくなり,お金を払って保育園を利用せざるをえなくなりました。
 事故がなければ保育園の利用料は不要だったため,損害として認定されるべきではないかというのが依頼者の考えでした。
 ラグーンでは,依頼者の意向を踏まえて,依頼者は実質的には他人(孫)のために一部の家事を担っていた家事労働者であったと法律構成をして相手方と交渉をしました。
交渉の結果,当初,相手方は依頼者の休業損害や逸失利益を否定していましたが,最終的には損害の一部として認定してもらうことができたため,和解となりました。

弁護士の目

一般的に,無職で一人暮らしをしている方に休業損害や逸失利益は生じないと考えられています。
 収入がないため減収は観念できないし,一人暮らしであれば他人のための労務提供という側面がないため主婦(主夫)としての損害も認定されません。
 しかし,今回のケースでは,一人暮らしといっても,実質的には,孫のために家事をしている祖母という側面がありました。ラグーンではこの点を重点的に主張することで,最終的には保険会社も一部ではありますが休業損害や逸失利益の発生を肯定し示談となりました。
 裁判になった場合も同様の結論となったか微妙な事案でしたが,粘り強く交渉することで,裁判外で,依頼者の実態に即した適切な賠償金を取得することができました。

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