裁判で整骨院の施術費全額が損害として認定された事案

被害者の属性 20代 女性 正社員
事故の分類 交差点を直進時に加害車両と側面衝突
負傷部位
傷病名 頚椎捻挫

 

依頼のきっかけ

 治療が一段落したところで,適切な賠償金額の支払を受けたいと思い,弁護士費用特約にも加入していたことから,ラグーンへ依頼をされました。

交渉・裁判の経緯

 依頼者は,仕事の都合で整形外科へ通院する時間がなかったため,加害者加入の任意保険会社の担当者の了解を得て,整骨院にも通院をしていました。

 依頼を受けた後,弁護士が損害賠償金額を計算のうえ保険会社に提示したところ,保険会社は突然,整骨院の施術費については事故と関連性がない,慰謝料の支払いはしないと争う姿勢を示しました。

 保険会社は,依頼者が通院をする際に,整骨院の施術費を支払うことを約束していましたし,実際にも施術費を支払っているにもかかわらず,担当者が変更になった,新しい担当者の方針では整骨院の施術費は認めないという主張の一点張りでした。あまりにも不誠実な対応でした。

 そこで依頼者とも協議のうえ訴訟提起を行いました。

 訴訟でも加害者側は整骨院の施術費の支払を否定する主張に終始しました。

 そのため,最終的には裁判所の判決となりましたが,当方の主張どおり,整骨院の施術費については全額が事故による損害として認定されました。

弁護士の目

 加害者加入の保険会社が整骨院の施術の必要性等を争って整骨院への通院を拒否するケースがあります。
 さらに,一度,整骨院への通院を認めて,なおかつ施術費の支払をしておきながら,賠償金の交渉段階になって,一転して後出しジャンケンのように施術費の支払を拒否する被害者側からすれば信じられないようなケースもあります。法律上は,後になって保険会社が整骨院への通院を争うこと自体は否定されていないのです。しかし,保険会社のそのような対応は,被害者側からすれば極めて不誠実に見えますし,裁判例においても,加害者側がそのような対応をとることは信義則に反して許されないとされた事案があります。

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